238Uと235U の放射崩壊に関して
太陽系(あるいは地球)の年齢を45億年と考える、つまり ([235U]/[238U])(t=45億年) = 1/137.88 とすると
太陽系が出来る前の宇宙空間でのU合成に関しては両極端の2つのシナリオを考えます。
この時間はおよそ90億年程度になります。これに太陽系の年齢を足せばおよそ135億年になります。
d[238U]/dt = -λ238 [238U]-----(1)
d[235U]/dt = -λ235 [235U]-----(2)
という微分方程式が成立します。ここに[238U]は238Uの原子数です。
地球全体でと考えても結構ですし、太陽系を代表する物質1グラムあたりと考えても結構です。
(1)を解くと[238U] = [238U]0
ここに[238U]0 は初期値、この場合は45億年前(t=0)の量です。
t=45億年とした量が現在の量です。
(2)も同様に解きます。
現在地球を含む太陽系物質(主に隕石)では238U:235Uの比が 137.88:1 になっています。
([235U]/[238U])(t=0) = 0.31 がえられます。
これは、太陽系(地球)が出来たときの同位体比です。
1) 太陽系に含まれるUはある時短時間に(一瞬に)全て作られ、そのあとはただ放射崩壊によって減ってきた。
2) 太陽系に含まれるUは宇宙に歴史を通じて一定の割合で作られてきた。作られる一方でもちろん放射崩壊も起きている。
238U、235Uの生成率をP238、P235とするとP238/P235 = 1/1.5 程度と考えられています。
(生成率は宇宙全体で単位時間当たりと考えてもよいし、宇宙物質を代表する物質1グラムあたりと考えてもよい。)
従って1)のモデルの場合は、
([235U]/[238U])(t=宇宙の初め) = 1.5
だったのが何年かかって
([235U]/[238U])(t=?) = 0.31
になったのかを計算すれば太陽系形成の何年前に元素合成があったかが分かります。
2)のモデルはもう少し複雑です。微分方程式は次のようになります。
d[238U]/dt = -λ238 [238U] + P238 -----(3)
d[235U]/dt = -λ235 [235U] + P235 -----(4)
(3)(4)を解くと
[238U] = (P238/λ238)(1-
[235U] = (P235/λ235)(1-
となります。
dy/dt = a-by という形の微分方程式です。
by-a = u とおくと b dy = du ですから
du/u = -b dt
したがって(両辺を積分して) log u = -bt+C
u = A
by-a = A
y= (a+A
t=0でy=0であるとして
A=-a
従って y= (a/b)(1-
(5)(6)を用いて
([235U]/[238U])= (P235/P238)(λ238/λ235){(1-
となるtを求めれば、それが宇宙でウランが作られ初めてから太陽系が出来るまでの時間になります。

これに、ビッグバンからウラン合成が始まるまでの年代(およそ20億年)を加えたものが宇宙の年齢となります。
((7)式からtを求めるには例えばグラフを書くといった方法が簡単です。どのみち有効数字2桁程度の話ですから。
またt=90億年程度になりますと exp(-λ235t)はほとんど0になります。これを利用して、式を易しくすることもできます。)
なお、半減期と崩壊定数の間には
(半減期)x(崩壊定数)=log2(=0.693)という関係があります。
238Uの半減期はおよそ45億年、235Uの半減期はおよそ7億年です。