フィッション・トラックはエッチングによって広げる前は顕微鏡でも見えないほど細いので、鉱物に熱がかかると次第に鉱物の結晶が修復され、トラックは消えてゆく。この現象をフェイディング(Fading)と呼ぶ。鉱物の種類によってフェイディングの起きやすさは異なるが、フィッション・トラック年代測定を行う鉱物の内では熱に強いジルコンでも200℃ないし300℃の温度が地質学的な時間継続すればトラックを失ってしまう。
トラックが消えてゆく時にはトラックの両端から修復されてゆくので、エッチングをするとフェイディングを受けていないものに比べて短いトラックがあらわれることになる。この性質を積極的に利用して、鉱物が受けた熱史が研究されている。
ある鉱物が出来てしばらく時間が経ってから再度過熱されたとしよう。温度が高くなり過ぎなければ、トラックが完全になくなることはなく、長さが短くなる。この後お温度が下がった後出来るトラックは長いトラックになる。そこで長さの長いトラックだけを数えれば、温度上昇がいつ起きたか情報が得られる。また短いトラックに注目すれば、この鉱物が作られた年代の下限値を議論出来る。