海洋水の大循環(熱塩循環)と気候変動


 海水の密度は、温度と塩分濃度によって支配されます。温度が低いほど、塩分濃度が高いほど、密度が高くなります。密度の高い水は深海に沈み込み、深海底流となります。高緯度の海洋では海水温度は低下し、また海氷が作られると塩分が海水中に残るため塩分濃度も上昇し、海水密度は上昇します。
 表層海水の潜り込みはグリーンランドの東の北大西洋で生じ、大西洋の底を南下して南極大陸にそったウェッデル海に達します。(ウェッデル海でも表層海水の潜り込みが起こります。)その後、南極のまわりを回った深海底流は太平洋を北上し、アラスカ沖付近で表層水になり、太平洋、インド洋を通って、大西洋に戻ってきます。一周するのに1000年ほどかかると言われています。水の持つ熱量と塩分濃度によって支配されているので熱塩循環と呼ばれます。
 北太平洋では海水の潜り込みは起こりません。これは、ベーリング海峡が浅いため、太平洋の海水と北極海の海水が交換しないためと考えられます。
 ヨーロッパの西の大西洋を北上する表層流はメキシコ湾流で、この海流によってヨーロッパの気候は温暖になっています。何かの原因で、この熱塩循環が断ち切られると、北大西洋までメキシコ湾流が達しなくなり、ヨーロッパの気候は寒冷化されます。最終氷期が終わるころ大陸の氷が溶け、密度の軽い淡水が大量に北大西洋に流れ込み、このために熱塩循環が停止し、寒冷なヤンガードライアス期が始まったのではないかと議論されています。


密度成層 京都大学大学院 石川尚人先生の基礎地球科学1のための講義資料。
放射性炭素で海水大循環を調べる (米田穣:国立環境研究所)  海洋水の大循環とアイヌ人の食生活の関連が示される。
East Anglia大学のClimatic Research Unitのホームページ 動画による熱塩循環の説明あり
Southampton Oceanography Centre の James Rennell Divisionのホームページ 


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