加速器質量分析



 普通の質量分析系では14Cの測定は出来ない。これは次のような理由による。
14Nは大気の主成分であるため、いくら注意深く分離しても完全に取り去ることは困難である。従って、年代測定用の試料には14Cだけでなく、それよりかなり多い14Nが混入している。14Cと14Nの質量はほとんど同じで、普通の質量分析計で分離して計ることが出来ない。
 しかし、加速器質量分析の場合、はじめに14Cをマイナスのイオンにする。この時14Nもマイナスのイオンになるが、14Nのマイナスイオンは不安定で電気的に中性な原子に戻りやすい。そこで、第一段の加速(プラス数十万ボルトの電圧で加速する)が終わって、イオン交換器(マイナスイオンからプラスイオンに変える)に達する時には窒素のイオンはほとんどなくなっている。ここで、今までマイナスのイオンであったのが、電子を剥ぎ取られてプラスのイオンになるのだが、プラスのイオンは今まで引き寄せられていたプラス数十万ボルトの電圧に反発して第2段の加速を受けることになる。このように2段階で加速するのでタンデム型加速器という。

 ところでタンデムとはもともとはどんな意味なのだろう。すぐ思い浮かぶのはオリンピックの自転車種目でもある、2人乗り自転車である。しかし、もともとは2頭立て馬車だと聞いた。私はローマ時代の競技場で競われた2頭立て馬車を思い描いた。馬が2頭並んで引っ張る馬車である。ところがこれはとんでもない間違いであった。インターネットで写真を探したり、英語辞典で絵を探したりした所、2頭の馬が前後につながって馬車を引っ張るのがタンデムであった。
 どうも、前後につながる、前後に並ぶというのが肝心なようである。2人乗り自転車もたしかに前後に乗っている。インターネットに載っていたのは、自転車と、2人で上下に重なって下りて来るスカイダイビングの写真だった。馬車の写真はほとんどなかった。交尾するトンボが前後につながって飛んでいるのもタンデムというらしい。世界で只一つという、交尾するトンボの化石の写真もあった。



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