
| 東北大学地質学教室のN教授から、「高森遺跡の年代測定に協力してほしい」といわれて、学生を連れて発掘現場を見に行った。多賀城にある東北歴史資料館がトレンチを掘って大規模な発掘を行った直後で、「これだけ掘っても、この場所では石器は2つくらいしか出ませんでした。」という。トレンチのそこに、土が塔のように高まっているところがあって、そこが石器の出たところだという。石器自体は、素人の私の目には自然石と区別がつかなかった。(あれだけ深ければF氏も偽石器を埋めることはできなかったろうから、やはり自然石だったのだろう。)今思い出すと、「あの人たちが掘ると出るのに、私達がやってもでないのだから」といっていたのが妙に印象的である。 遺跡付近の地層に含まれる火山灰は風化が激しく、K-Ar法では測定できないので、もっと上位の鵙目火砕流を採取し、その中から角閃石の粒だけを集めて年代測定した。このような試料の場合、火山の噴火の時マグマからもたらされた角閃石なのか、それとも以前からあった岩の中の角閃石が噴火で吹き飛ばされたのかで、年代がその地層のできた時の年代として扱えるかどうかが決まる。私達が集めた角閃石野中には、古くからあった岩からもたらされた角閃石がかなり含まれていたらしい。大変苦労した結果出てきた年代はなんと100万年をこえていた。「どうなりましたか」と聞かれたので結果は報告したが、うまく行かなかった例である。 |